禅・修行・日常・作務、そして心身の健康

仏教における「禅」の世界では、日常生活のあらゆることが、修行として位置付けられています。
「作務」と呼ばれる掃除や洗濯、畑仕事や料理にも心を込め、作法を大切にして集中して行うことが、求められます。
また、食事の作法も「食堂」といって細かく定められ、堂内を歩く際にも多くの作法があり、常に気を配り続けていなくてはなりません。
さらにこれに読経や座禅などの、いわゆる「いかにも修行らしい修行」も行なってゆくことで、修行僧たちは心を磨き、透明な境地を目指していきます。

そうして厳しく自己を律してゆくことは、修行者たちの身体に大きなも変化をもたらします。
禅寺での修行は食事が極めて質素で量が少なく、睡眠時間もわずかしかありません。
ですので始めのうちは、空腹や睡魔に悩まされたり、肌や指先が荒れたり、抵抗力が落ちて病気にもかかりやすくなります。
しかし修行の日々を送ってゆくにつれ、身体は次第に順応していきます。
そして少ないはずの食事や睡眠はむしろ必要最小限で済ませられる効率のよいモノへと変わり、厳しいはずの修行はむしろ、決まった就寝時間と起床時間に毎日のルーティンワークといった、規則正しい生活として、逆に身体によい影響を及ぼすように変化してゆくのです。
歴史に名をとどめた高僧たちに長生きが多いのも、この徹底した自己管理と無関係な話ではありません。

 

この禅僧の生活を何から何まで我々の日常の中に取り入れてゆくのは、さすがに不可能です。

ですが「作務」の精神ならば、普段の家事や食事に上手に取り入れて、体調を改善し、心身を健康に持ってゆくことができます。

掃除や洗濯、片づけなどの家事の際に、余計な妄想をせずに家事だけに集中し、食事もコンビニや外食などで適当に済ませたりせず、簡単にできるものでも良いので、自分で作るようにすれば、心が磨かれるようになります。
掃除ならキレイになりますように、料理なら美味しくなりますようにと、念を込めて行うようにすれば、なお精神に良い影響がもたらされます。

 

心がきれいになることで、メンタル面での不調を取り除けるだけでなく、内臓や血行の調子も良くなり、それが身体の痛みやコリの改善にも繋がりますし、頭痛持ちや不眠といった体質の改善にも期待できるのです。

雑念が入らない日常を、意識的につくること。そうすることは健康的で充実した日々を送るための、とても重要な道となるのです。